浪人するとき、予備校に通わず「宅浪」を選択する方は珍しい部類に入ると思います。
それ故に宅浪の生の情報というのが少なく、その生態は謎に包まれています。
「宅浪は成功しない」「宅浪はつらい」などと世間で言われていますが、私は宅浪こそが最高の選択であると確信しています。
私は周囲から不可能だと言われながら、偏差値40代から大阪大学に逆転合格を果たしましたが、これは紛れもなく「宅浪」のおかげだと考えています。
宅浪されている方や宅浪するか迷っている方は多いと思いますので、この記事では私の経験談をもとに宅浪を成功させる秘訣をご紹介します。
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もくじ
「宅浪は成功しない」は本当?
「宅浪は絶対失敗する」「宅浪の成功率は10%以下」などと主張する人があまりに多いのですが、全く根拠がありません。
宅浪の成功率なんてデータどこにもないため誰にも分かりません。
「宅浪は失敗する」という先入観だけで主張しているのです。
宅浪で失敗した人の話に目がいきがちですが、宅浪で成功した人も数多く存在します。
実際、予備校生の第一志望の推定合格率は、約20%です。
難関大学の競争倍率が4〜5倍、つまり20~25%であることを考えると、逆に予備校に通うことが不利に働いていると言えます。
つまるところ、宅浪の成功率なんてあなたが意思決定する上で全く関係ない話です。
宅浪のメリット・デメリットを見極め、自分の気質・性質や置かれている環境を鑑みて、宅浪するかどうかを決定すべきなのです。
宅浪のメリット・デメリット
宅浪のメリット・デメリットについて実体験から詳しくご説明いたします。
宅浪のメリット
なぜ私が予備校に通うより宅浪が良いと考えているのかご説明します。
理由は下記2点です。
- 圧倒的に勉強効率が良い
- 自分の好きなように勉強出来る
順番にご説明します。
圧倒的に勉強効率が良い
宅浪を選択する一番の理由はこれです。
宅浪の勉強効率が高い理由は、下記2点あります。
- 講義を受動的に受けるより、自分で能動的に勉強する方が記憶の定着率が高い
- 可処分時間が多い
具体的に見ていきましょう。
講義を受動的に受けるより、自分で能動的に勉強する方が記憶の定着率が良い
ラーニングピラミッドをご存知でしょうか。
下記図のように、学習形態によって定着率が異なることを示す概念です。
ラーニングピラミッドは学習が能動的になればなるほど、学んだことが定着することを示しています。
講義を受ける受動的な学びはわずか5%しか定着しない一方、自分で問題集を解く能動的な学びは75%の定着率があります。
「参考書を読む」という行為でさえ定着率が10%と、講義を受けることに比べると、2倍の効率があります。
ここに圧倒的な宅浪のメリットがあります。
予備校に通う受験生は長時間予備校で授業を受けるだけで、「よく勉強した」と満足気ですが、実はそのほとんどは定着していないのです。
一方で宅浪は「自習」という自ら学ぶ能動的な勉強をしている訳なので、同じ時間勉強していても、宅浪の方が遥か先に前進しているのです。
可処分時間が多い
可処分時間というのは、「1日の内に勉強できる時間」のことを言います。
予備校に通うと、通学の時間がありますよね。
その時間がまさしく無駄なのです。
「通学中も勉強できる!」と思われるかもしれませんが、実は通学中の勉強は効率が悪いのです。
実際に通学中に勉強できるのは電車に乗っている時間だけです。
自宅や予備校の最寄駅までの移動は徒歩、自転車になるでしょうが、その間が勉強できません。
できたとしても単語帳のCDなど音声教材を聞くだけです。それに歩きながら、自転車をこぎながら集中なんてなかなか出来ません。
また、予備校に通うため服を着替える時間や髪をセットする時間(特に女性はメイクの時間もありますね)なども無駄な時間です。
予備校に通えば、お昼ご飯はコンビニに買いに行くことがほとんどです。
その時間がまた無駄です。コンビニにいって、レジ待ちして、、、10分近くかかりますね。
教室に行き、授業が開始されるまでの1〜2分を待っている時間も無駄です。
1〜2分なんてと思うかもしれませんが、毎日毎授業積み重なると大きな時間になります。
宅浪であればこうした無駄な時間は一切ありません。
この時間を全て勉強に費やすことが出来ます。
あるいは、こうした時間をなんの罪悪感も感じることなく、堂々と息抜きのために費やしても良いのです。
予備校に通っている受験生もその間は勉強していませんから、休んでいても先を越されることはありません。
予備校に通う彼らはこうして毎日1時間ほど無駄な時間を過ごしているのですから。
自分の好きなように勉強出来る
宅浪二つ目のメリットは「自分の好きなように勉強出来る」です。
予備校に通うと自分のペースで勉強することが出来ません。
カリキュラムが組まれそのとおりに勉強しなくてはいけないからです。
また授業も集団で受けるため、講師のスピードに合わせなければいけません。
よく理解出来ないからもっと詳しく説明してほしい、と思っても先に進みますし、逆に理解できているし簡単なことでもまどろっこしく説明されるため冗長に感じてしまいます。
一対一の授業ではなく、一対多数の授業なのでどうしても自分のペースとずれてしましまいます。
反面、宅浪であれば、自分がわからなければ理解できるまで徹底的に時間をかけることが出来ますし、理解できていることであれば、さっと飛ばすことも可能です。
勉強にメリハリがつくので非常に効率的です。
宅浪のデメリット
ただ、宅浪は良いことばかりではありません。
もちろんデメリットもあります
- 純粋に宅浪がつらい
- 自制心がより必要になる
- フィードバックを受けづらい
順番にご説明します。
純粋に宅浪がつらい
宅浪は孤独感が半端じゃありません。
浪人するだけでも孤独でつらいのに、宅浪はその孤独感に一人で打ち勝たないといけません。
浪人は現役以上に「後が無い」「絶対に合格しないと」という強いプレッシャーにさらされます。
受験直前期になるとこのプレッシャーは更に強まります。
予備校に通っていれば、周りが全員同じ環境なので、多少プレッシャーはやわらぎます。
宅浪生の場合、自分一人で背負わなくてはいけないため、結構つらいです。
自制心がより必要になる
予備校生であっても自制心は必要です。
しかし、宅浪はより自分に厳しくならなければいけません。
予備校に通っていれば効率が悪いとはいえ、講義を受けていれば半自動的に勉強する機会に恵まれます。
予備校に行って猛勉強している受験生を見ると焦燥感から、「勉強しないと!」とモチベーションが湧いてきます。
一方、宅浪は他の人と関わる機会が少ないので、そういうモチベーションが湧きづらいです。
また、誰からも縛られていないため、誘惑に負けて、ついネットやゲーム、SNSに時間を費やしがちです。
フィードバックを受けづらい
宅浪は孤独です。
一人で黙々と勉強しないといけませんので、ちゃんと自分できるようになっているのか不安になります。
また常に参考書と向かって勉強するため、自分の回答があっているのか確かめづらいのです。
宅浪を成功させる2つのコツ
デメリットである「自制心がより必要になる」「フィードバックを受けづらい」を打ち消すことで成功率が上がります。
要は「自制心を身につけ」「フィードバックを得られる環境を作る」ことが宅浪成功の秘訣なのです。
具体的に説明いたします。
自制心を身につける
宅浪成功のための一つ目の秘訣は「自制心を身につける」です。
モチベーションを維持出来ないことが宅浪が失敗する最大の要因です。
逆に言うとこの自制心を保てさえすれば、宅浪ほど有効な選択はありません。
自制心は気合や根性では長続きしません。
半強制的に、無自覚的に勉強を続けられるようになる仕組み作りが重要です。
仕組み作りはちょっとしたコツで誰でも出来ます。下記6つの方法をご紹介します。
- 受験計画を立てる
- 毎日勉強の記録をつける
- ペースメーカーとして通信教育を利用する
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映像授業のコーチングサービスを利用する
-
自宅以外の勉強場所を見つける
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スマホを解約する
スケジュールを立てる
1年、3ヶ月、1ヶ月、1週間、毎日、それぞれのスケジュールをあらかじめ決めておくことで、自制心を保ちやすくなります。
目標から逆算して、毎日のスケジュールにまで落とし込むことで、自分が今なにをやればいいかが明確になります。
人間、何をすれば良いのかわからないと楽な方向にばかり流れてしまいます。
また、今やっていることはどういう意味があるのかが分からないとやる気が著しく落ちてしまいます。
その結果、誘惑に負けてゲームなどに時間を費やしてしまうのです。
目標から逆算して、毎日のスケジュールを決めてあげることで「今自分が勉強していること」が志望校に合格するためになぜ重要なのか理解出来ます。
日々の勉強が志望校合格の目的と具体的に結びついているため、毎日やるべき勉強を疎かにするとゴールが遠のくと直感的に理解でき、誘惑に負けづらくなるのです。
あらかじめスケジュールに娯楽の時間を設けることも重要です。
娯楽の時間を設定しておくことで、罪悪感を抱くことなく娯楽に集中できます。
またその時間がご褒美となるため、そのご褒美を得るため、我慢して勉強に取り組むことが容易となります。
毎日勉強の記録をつける
こちらは自分への焦り、強迫観念を植え付けることに役立ちます。
例えば、毎日、英語2時間、数学2時間、現代文2時間勉強するというスケジュールを立てたとします。
そして毎日それぞれ何時間勉強したのか記録するのです。
サボってしまい、毎日決められたスケジュールを達成出来ない日が続くとものすごい焦燥感に駆られ「勉強しないと!」という予備校生と似た感覚を味わうことが出来ます。
記録媒体は手帳やカレンダーなど紙が良いです。
スマホやPCなどで記録しようとすると、スマホやPCを起動する口実になりますし、いざ開くと色々な誘惑にさらされてしまいます。
ペースメーカーとして通信教育を利用する
勉強を習慣づける上で非常に心強いのが「ペースメーカーとしての通信教育」です。
通信教育は、年間を通して「毎月教材が送られてきて、問題を解き、回答を添削をしてもらう」というサイクルがあります。
その教材は始めは基礎から、やがて応用へと変わっていきます。
自分がいつまでにどの程度の実力をつけていれば良いのか、送られてくる教材を通して把握することができます。
これは個人戦である宅浪生にとって非常に心強い味方です。
通信教育で送られてくる教材に食らいついてさえいれば合格出来るという安心感は非常に頼もしいです。
通信教育であればZ会が圧倒的におすすめです。
毎年難関大学合格者を多数輩出し、そのクオリティはダントツです。
下記記事でおすすめの通信教育をまとめてますのでご覧ください。
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映像授業のコーチングサービスを利用する
CMでも多く放映されているとおり、近年スタディサプリなどの映像授業サービスのクオリティが非常に高くなっています。
映像授業そのものも自宅で分かりやすい授業を受けれれるため宅浪の強い味方ですが、宅浪にとって最も有難いのが「コーチングサービス」です。
映像授業はほとんどの場合、コーチングサービスを提供しています。
これは、皆さんの勉強の進捗状況や受験の悩みなどを聞いてくれたり、受験計画の立て方やどのように勉強すれば効率が良いかをアドバイスしてくれるサービスです。
自宅にいながら予備校のチューターのような役割を果たしてくれるのです。
浪人、特に宅浪生は精神的に辛くなることが多いのですが、常に相談できる相手がいるという状況は非常に心強く、精神的にも救われます。
通常の映像授業と合わせて月1万円ほどで受けられてコスパが非常に良いのもポイントが高いです。
特にオススメなのはスタディサプリの『合格特訓コース』です。
コーチが全員、東大京大・早慶などの難関大現役大学生なので、説得力のある的確なアドバイスを受けることができます。
自宅以外の勉強場所を見つける
自宅浪人と言っておきながら、自宅以外の勉強場所を確保するのは非常に重要です。
自宅だけでずっと勉強するのは、宅浪初期の頃は特に気が滅入ります。
集中力も途切れてきます。
そういう時は、気分転換に場所を変えて勉強するのが非常にオススメです。
私が宅浪の時は、図書館やカフェ、ファミレス、ファストフード店など幾つか候補を持っていました。
2~3時間だけでも自宅以外の場所で勉強すると気持ちがリフレッシュされ、自宅に帰った後も集中して勉強できます。
下記記事にオススメの勉強場所をまとめてますので参考にどうぞ。
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スマホを解約する
究極的にはコレです。
誘惑に負けるのであれば、その誘惑自体を断ち切れば良いのです。
スマホは一例ですが、テレビを見る人やゲームをする人であれば、受験期間中はそれらを親の押入れにしまったり、遠くに住む親戚の家に送ってしまうことです。
誘惑がなくなると、「やることがなくて暇だ」「勉強しかすることがない」となって自然に勉強するようになります。
実際に私は携帯を解約し、テレビを押入れの奥にしまい込むことで勉強しか出来ない環境を作りました。
人間不思議なもので、あれだけ嫌だった勉強でも、何もやることがなく暇になると勉強するようになります笑
これは過激な方法ですが、真剣に合格したい人は是非やってみてください。
フィードバックを受けられる環境を確保する
二つ目の宅浪成功の秘訣は「フィードバックを受けられる環境を確保する」です。
宅浪は孤独です。
一人で黙々と勉強しないといけませんので、ちゃんと自分できるようになっているのか不安になります。
また常に参考書と向かって勉強するため、自分の回答があっているのか確かめづらいのです。
しかし、このデメリットは容易に覆すことが出来ます。
下記2点を試してください。
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通信教育など添削してもらえる環境を作る
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頻繁に模擬試験を受ける
通信教育など添削してもらえる環境を作る
宅浪であってもいくらでもフィードバックを受ける環境を作ることが出来ます。
Z会などの通信教育で添削を受けたり、現役時代の高校の先生に回答を見てもらったり、Yahoo知恵袋で質問をしても良いです。
特にZ会の通信教育は東大・京大を始め難関大に強いだけあって、添削のクオリティが非常に高くおすすめです。
また、予備校の単科だけを受講するのもおすすめです。
苦手な記述式の教科を週に1コマだけとると良いです。
授業前授業後に分からないことを思う存分質問できますし、参考書で分からないところを教えてもらったり、記述式の添削などもしてくれます。
自習室も利用できるようになるので、他の予備校生が勉強するところも間近で見れますので「焦燥感」という予備校生のメリットも享受することができます。
これらは現代文の記述式や英作文など、記述式の科目で利用するのが効率的です。
それ以外で利用するのはお金と時間の無駄なのでやめるようにしましょう。
頻繁に模擬試験を受ける
宅浪は自分の立ち位置が分かりづらいですが、これも模擬試験を受ける回数を増やせば解決可能です。
宅浪中は本当に自分はゴールに近づいているのか、正しく勉強できているのか、不安になります。
模擬試験を受けることで全国の受験生の中で自分は今どの位置にいるのか分かります。
一人で勉強しているからこそ、こまめに自分の立ち位置を確認するために模擬試験を受けるようにしましょう。
宅浪の勉強時間は?1日のスケジュールは?
「宅浪生はどのくらい勉強すれば良い?」と気になる人は多いと思います。
私の実際の1日のスケジュール
まず、参考までに私の宅浪時代の勉強時間をご紹介します。
私は大体1日8時間くらい勉強していました。
(ちょこちょこ細かい休憩挟んでいたので実際は7時間くらい)
宅浪は基本自由なので、上記図のように昼近くまで寝ていました。
またずっと勉強しっぱなし、という訳ではなく、こまめに休憩も取っていました。
また1日の勉強が全て終わった後、2時間半の自由時間を確保していたため、精神的にも余裕がありあした。
ご覧の通り、宅浪は予備校生と違って移動時間や予復習もないため、かなり自由に時間を使えます。
浪人生の平均勉強時間
大学受験合格応援隊というサイトが現役生と浪人生に1日の勉強時間のアンケートを取ったところ、下記のような結果となりました。
浪人生全然勉強してないですね笑
宅浪生のデータはありませんが、まず最低限の目標として6時間以上は勉強しましょう。
そうすれば、少なくとも平均以上勉強していることになります。
どのくらい勉強すれば良いかは、今のあなたの偏差値と志望校によります。
ただ、私の1日のスケジュールで示したとおり、宅浪生は勉強しないとむしろ暇で、6時間の勉強時間は普通に超えます。
どうしても辛い時は休んでも良い
ただ、宅浪生活は1年と長期戦です。
1年もあれば、「全くやる気が出ない」「勉強したくない」という日も多々あります。
そういう時は無理をせず休んだ方が良いです。
無理して勉強を続けると、ばててしまい完全に勉強しなくなったりします。
「無理をしない」というのが長期的に見て、長く効率的に勉強出来る、というのが私の宅浪の経験則です。
宅浪生が読むべきおすすめブログ記事
何度も言いますが、宅浪は孤独で不安に陥りがちです。
先人の宅浪生がどのように乗り切ったのか知っておくことは非常に役立ちます。
下記に実際に宅浪を経験され難関大学に合格された方のブログを紹介しています。
参考にぜひご覧ください。
東大みおりんのわーいわーい喫茶
宅浪で東大に合格した宅浪の星です。
宅浪生は必見です。
外部リンク「東大みおりんのわーいわーい喫茶」
Updrafts
こちらは宅浪が早慶に合格し、たぶん慶應経済学部に進学された御仁。
大学受験記事がメインではないですが、下記記事は詳しい勉強スケジュールが書かれており、大変参考になると思います。
外部リンク Updrafts
log10かしろぐ
予備校に通っていたけど2ヶ月で宅浪に切り替えた方のブログです。
この方は慶應に合格されています
外部リンク log10かしろぐ
受験生のための大学選び 学歴.site
宅浪でMARCHに合格された方のブログです。
第一志望ではないものの現役時代より良い大学に合格されたの宅浪成功者と言えますが、ご本人は宅浪反対論者です。
良い意見ばかりではなく、悪い意見も読まれた方が良いと考え紹介します。
外部リンク 受験生のための大学選び 学歴.site
まとめ:「宅浪は成功しない」はウソ!
効率の良さで言えば、宅浪が圧倒的に勝るのは自明です。
問題は、いかにして勉強を続けるかです。
宅浪成功の秘訣は、勉強を続けられるかにかかっています。
勉強を無理なく続けられる環境を築くことにまずは全力を注いでください。
一度その環境を作り、勉強が習慣化すればこっちのもんです。
圧倒的に効率的な勉強を続けられるのですから予備校生をブッちぎれます。
皆さんの受験が成功することをお祈りしています。